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MIKASA Canoe Club updated 2023-07-05

2013 21th i-Cup を振り返る(Text by 高篠和憲)

 雨でスタートだが選手には影響は全く無し。水量も16t/s弱と適量。開会式には道カヌー協会の釣部会長も来られ、挨拶を頂いた。デモラン後、9時にスラローム競技開始。

スラローム・シングル(午前中)

 カヤック競技艇男子は20名ものエントリーで前半の5選手は国体予選を兼ねてのレース。予想通り北大CCの大家と三笠CCの矢田の熱い戦いとなった。1本目2人ともノーペナで1.19秒の差で大家がラップを取る。2本目の漕ぎでは若い大家がさらにパワフルな漕ぎで、2秒以上早い100.35秒。後でビデオを見ると3番~13番ゲートまでのタイムは2人ともほとんど同じだが後半でも大家がペースを落とさなかったからだろう。3位は佐橋(北大CC)で、続く選手も僅差。これからどんどん力を伸ばしそうな良い漕ぎであった。

 この2名と北水CCの中原は昨年に続いて2本ともノーペナ。今回は今まで以上に難しいゲート設定で、多くの選手が50ペナの不通過を食らう中、ノーペナを達成した選手には大いに敬意を表する。また学生さんが多い中、社会人3名の小田桐、丸谷、松浦も1本目0か2ペナと良い漕ぎをしていた。

 女子競技艇では5名のエントリーで2年連続国体出場の北大CCの成定が安定した漕ぎで、2本目はノーペナで2位の後藤(チーム山水)をかわす。3位には初競技艇参加の北大CCの菅原。子育て中の小田桐(ラピッヅ)が久々の登場で3位にわずかの差で4位に。

 カナディアン競技艇は2名で成立しなかったが、北水の村上が華麗で力強い漕ぎで競技艇カヤックに入れても3位の位置で気合を見せた。尾田(釧路ラピッヅ)も還暦とは見えない力のある漕ぎだった。



 ポリ男子カヤックの部は9名で、優勝は岩崎、2位宿田と2名とも旭川医大が制す。3位には高1の廣井(三笠CC)で将来が楽しみ。ポリ女子は帯畜勢が4名で優勝は武藤。2位正路、3位細矢。皆ダウンゲートに苦労し、ペナの少ない順に順位が付いた。



 OC1軽量艇は8名で、今年も内田(どんころ野外学校)が佐藤(三笠CC)打倒を目指してやって来た。迎え撃つ佐藤は特に2本目では速さもテクニックも完璧で、前日風邪で点滴してたと思えない漕ぎで優勝。その2人の間に何と神川(三笠CC)が割り込んで2位。3名とも2本目2ペナでタイムも僅差という、なかなかのレースであった。



 OC1ポリ艇は5名。内2名は帯畜大の江戸と三笠CCの廣井父の初参加でOCもこれから参加者が増えると嬉しい。最初ビギナー希望だったが成立しないのと、短いコースより同じ料金ならと一般の部に入ってもらい健闘!OC参加者が最近減って高齢化している。学生さんには艇を貸すのでどんどん乗って参加して欲しい。結果は昨年に続いて安定感とパワーのある須美(三笠CC)が優勝。2位に猪爪(三笠CC )。富良野から来たガイドの青木が3位。



 今年のビギナーカヤック部門はスターターの移動の手間とレスキュー体制UPのため、一般の部が2本終了してから、スタートをI-cupの瀬の下に移動してスタート。男子は8名のエントリー。優勝は社会人旭川ACCの橋本。ビギナーらしからぬガッツな漕ぎで2本目ペナはたったの2! 2位は奥村(旭川医大)、3位は中川(帯畜)。



 女子ビギナーは優勝は青木(帯畜)、2位坂本(酪農)、3位富沢(帯畜)。スタート早々速い流れでストリームインも大変そうだったが、沈も少なくゴールできた人が多かった。不通過が少ない者が上位を占めた。


カナディアン・ペア(午後)

 午後からは雨も上がり、夏の太陽も出てきてOCペア開始。CC2は1艇のみで残念。オリンピック種目でもあり、ペアの息のあった漕ぎは最も絵になる競技だ。北海道には集めれば5艇はあるそうなので是非揃って競技できれば嬉しい。




 OC軽量部門は3艇。1本目内田・五嶋組(どんころ)が制していたが2本目神川・木内組(三笠)がペア最速で優勝。3位は内谷・松浦組(ラピッヅ)で3艇とも五嶋氏製作の美しい軽量艇。

 男子ポリ艇部門は5艇のエントリー。余裕で佐藤・須美組(三笠)が優勝。2位には久保・佐藤組(帯畜)がペナ10のみで3位の村上・矢田組(北水・三笠)を破ったのはお見事。

 OC混成組は3艇と女子組1艇で成立。諸墨・幸重組(朝ビー)は堂々の優勝。彼らは関東から連続出場で毎年楽しみにエントリーして頂き、宿願の優勝であったろう。猪爪組はペナがあったが安定した漕ぎで2位、3位には大林・成定組(北大)。帯畜の盛・伊藤組は1本目の沈をものともせず、長い艇を水も汲まずに操り、堂々のゴール

表彰式&ウェルカムパーティ

 予定通り18時から開始。3位までの表彰と特別賞。4位以下にも抽選で全員に景品(各スポンサーや参加者などからの協賛品)。そして恒例の高額品ジャンケン大会。最後に各クラブから代表がクラブ紹介などアピールしてお開き。水道企業団から特別に解放された各テント毎にあるいは合流して夜遅くまでの大交流会となった。



2日目(6/16)コンバインド


 スラローム、フリースタイル、ダウンリバーの3種目で総合力を競うコンバインドはI-cupの目玉でもある。今年はフリースタイルではいつものI-cupの瀬をやめて、漕ぎやすくなった1段目のD-cupの瀬に変更した。またダウンリバーのゴールをビギナーのレスキュー対策と計時スタッフの移動が無いようにと全てI-cupの瀬上をゴールにした。

 カヤック男子は28人のエントリーで神川(三笠CC)がスラとダウンリバーで1位、フリースタイルでも最後にエンダーポイントも取り10位でトータルでもダントツ、当然のキングをGet。2位はスラ11位、フリー2位、ダウンリバー3位の久保(帯畜)が総合2位。3位は前原(北大)が表彰された。なおフリーだけで見ると初めて1年半という奈良が最高得点で、特別賞を取った。

 艇を選ぶのも作戦である。今までフリーで高得点を上げてスラで上位にいれば逃げ切れると言うパターンが多かったが、今回のレースで神川は長めのスラ競技練習用のFOX(ポリ艇)を選んだ。フリーには向かないと私は予想していたが、どうしてどうしてサーフィンと最後45度以下であるがバックエンダーを決めてしっかりポイントを稼いだ。勿論スラとダウンリバーでは、それぞれ2位の選手を10ポイント以上離して文句ない優勝。
 今後長い艇はコンバインドの規定外に・・・という意見も出るかもしれないが、フリースタイルの初期は皆、長い艇でやっていたのが当たり前、最近の短い艇は回しやすくなったが、艇の性能に助けられている。もう一度基本技術を身に付けるには長い艇でも回せなくては、と考えるのは古い考えか? 以前のように直角に立つピロエットなど大技も見たいものだ。

 女子カヤックは11人で酪農と帯畜の選手がほとんどだったが、優勝は近藤(ラピッヅ)が3種目とも2位を大きく引き離して、クイーンのゴールドTシャツを取った。特にフリーの得点は男子の中に入っても3位のポイント! 2位は横田(酪農)、3位には鮎沢(酪農)が入った。女子はスラではゲート不通過の選手が多く、より基本をマスターしてほしいという印象。



 カナディアンシングルでは4人のエントリーと少い。ここのところ常勝の佐藤(三笠CC)がキングをGet。2、3位は同じく三笠CCの須美と木内。4位には初参加の村上(北水)が佐藤に僅差に迫るがスラで不通過があり惜しかった。是非来年はキングを目指してほしい。



 カナディアンペアは5組の出場。幸重・諸墨組(朝ビー)はスラとダウンリバーで1位と他に差をつけ余裕の優勝で念願のゴールドTシャツ!  2位の木村親子はフリーでは最後までサーフィンを決めた上、2人の表情が良く、ジャッジ の印象点がフリー全体の最高ポイント。楽しそうな笑顔とか、特に女性は可愛らしさをアピールするとポイントを相当稼げるらしい。3位には大林・菅原組(北大)が入り、4位の吉田・武藤組(帯畜)は翌日の道新空知版に瀬を越える写真が載った。


ダウンリバー


 一般の部は3人揃わず不成立は残念。タンデムはDNSがあり、毎年出場の葛城組(SOGC)にはせっかく沈なしでゴールしたのに賞状をあげられなかった。ビギナーは要項で「幾春別川を少しでも経験を」と書いたお陰か 皆練習の成果目ざましく全員ゴール! 男子ビギナー優勝は浅子(北大)、2位村松(北大)、3位橋本(旭川CC)。女子ビギナー優勝の笠原(北大)は男子ビギナーに入れても2位のタイム!続く2位は山下(北大)、3位は藤嶋(帯畜)。


i-Cup全体について

 雪解け後の水量が多く大会の10日前まで20tを越す流量で、本番を想定した練習が今回は厳しかったのではと思う。また今回はコースを短くしたもののゲートセットも難しい所があり、特に中盤の9~12のダウンゲートがテクニカルだったが、皆各々の力に合わせていかにペナを食らわないかという工夫が見られ、なかなか見ごたえのある中味の濃いコースだったと思う。

 いつもスタート順などの決定が前日ぎりぎりだったのを反省して、昨年から締切日を早めたお陰で、カテゴリー分けや出艇順や時刻も前もって公表できるようになった。そのため前日の設営後の打合せでは役割分担や流れをスタッフ皆が把握でき、ゆとりが出来た大会運営であった。また昨年から1週前には学生さん達の応援協力で、ジャッジミーティングで指導を事前に行なっているので本番でのジャッジミスは無いと言えるのでは。

 大会は前日から昼までは久しぶりの20mmを越す雨でスタート。雨のち晴れという天気予報どおりで、選手はたいして気にはならないが、ジャッジなどスタッフはペーパーが濡れるので少々ストレス。最近「I-cupは晴れる」というジンクスが少々崩れてきたのが残念だったが1日目後半からは晴れて、2日目も良い天気で楽しいキャンプ付きのイベントだった。

 2日目も予定時間通りに進み、表彰も今年は時間どおり15時にスタートでき、無事終了できた。また北日本大震災の義援金も集まり送金できた。今大会には多くの方々の協力、協賛をいただき、また選手の協力も大きく、賑やかに大会が出来たことを感謝して報告とさせていただきます。

※ なお、リザルトは次のサイトを参照のこと